大事なのは「伝える」ということ。

自分ではそれを伝えることが大事かどうかわからなくても、
誰かに何かを伝えることで
それがとても重要な意味を持つことが、あるのですね。
そんな風に思える出来事がありました。



震災から数カ月。仙台のある会社が社員旅行を実施しました。
その会社も被災していました。
震災が起きた金曜の翌日から、何度も社長の携帯に電話をかけ続け、
繋がったのは月曜だったかな。
社長の元気な声を聞いた時は、正直「あぁ、生きていらっしゃった。」と
心からほっとしたものです。
でも、工場の製品は9割がダメになり、浜の近くに自宅がある
社員2人は自宅に帰してから全く連絡がつかない。
今日の帰りに寄ってみようと思ってるんだけど、多分流されたんじゃないか、と。
結局社員2人の自宅が全壊。1人が半壊。
家族が亡くなった方もありました。



そんなことから、私も今年は社員旅行はないだろうな、と思ったし
まさか触れることも出来ませんでした。
ところが、6月のある日「社員旅行やろうと思うんだけど。」と
社長からの電話。
さすが、すごい強い方なんだなぁ、と思ったけど、
そこに至る社長の気持ちにこんなことがあったなんて、知らなかった。



それは、夜の宴会の社長のご挨拶を聞いてわかりました。


「まさか震災から数カ月で社員旅行が出来るとは思わなかった。
やると決めた、その最初のきっかけになったのは、
かなえちゃんから電話があって、四国にいくはずのお客様が
仙台復興の為に行き先を変更しました。
それで、宴会する美味しいお店を紹介して下さい。
って言われたんだよね。だから、お金は回さなくちゃ経済が動かないし
みんな震災後に休みも返上して一生懸命頑張ってきたから
絶対に社員旅行をやろうと決めた。」


そうだったんだ!
他の役員の方にも「社長が絶対、社員旅行やるから。」って言ってさぁ、
と、あとで伺いました。
仙台に行こう!と思った方たちの気持ちが、社長に伝わり、
それをきっかけに、社長の気持ちを奮い立たせることになるなんて。
とても感動しました。


人間って誰かの温かい気持ちに触れて、頑張ろうって思えるんだなぁって。
だから、相手に伝えることが大事なんだって。
私もそのきっかけになれたなんて、嬉しい。



なんだかすごぉく、幸せな気持ちになったのでした。