たまたま被災しなかっただけ

支援物資のボランティアで以前衣類を送った方からハガキが届きました。
一面にびっしり書かれたその末筆に思わぬことを目にしました。


以前送った新品のスヌーピーのトレーナーを、
1月はほとんど毎日着て過ごしました、というお礼と共に
また不要な衣類やバッグ類があったら支援してもらえないでしょうか?
それというのも、支援物資を送る人と求める人の交流のできるそのサイトで
しつこい男性につきまとわれ、断ると結局そのサイトからの
退会に追い込まれたのだというのです。
弱者に対する、なんということかと読み終わってしばし呆然、
涙が出そうになりました。


最後の文章は気に障ったら破棄してと書いてあり
急いで連絡先へメールを送ります。
何か協力出来るけれど、今出張前で忙しく帰国後に探しますね、
と送りました。


すぐに返事がきて、じっくり読むとハマりそうで
「ごめんなさい。帰国後に。」と心で謝って飛ばし読みしましたが
電化製品をマッチングしたので心待ちにしていたら
届いたのが壊われたものだったこと。
その後個人的な執拗な連絡に悩まされたこと。
震災で何もかも失くした時にこのサイトで暖かい衣類や
お母様にも布団を支援してもらうことができたこと、
今も病気になって仕事ができず、スーパーで値切品を買って
生活していること。
私が旅行の仕事をしているので出張に、と書いたことで
以前はイタリアやエジプトに行ったこと、でも今は、など読むと
本当に普通に幸せだった生活が、あの日を境に
跡形もなくなってしまったことがわかります。


サイトの中では、見ず知らずの支援者と支援される人との会話が
知らず知らずに目に入ります。
ある方の言葉で「いいえ、気にしないでください。
私はたまたま被災しなかっただけです。」と書いてあったのが
印象に残ります。
そうなんだな、と思います。
サイトの中では、いつのまにか支援者と被災者との上下関係ができています。
偉い支援者は、どうでもいいじゃないと思うようなことを
書く人もいます。


「罹災証明をUpして下さい。よく見えません。」
「もう包んで準備したのでティーポットだけでなく、
マグカップ5個とのセットで貰ってくれる人でないと
支援できません。今回はお断りします。」
いくらブランドだからと、使いかけの口紅をたった一本支援するのに
「あなたは、最近もらったものに評価のコメントをしていませんね。
そんな人に差し上げられません。」などなど。
これって、なんだかエゴのような。


支援される人がいつもぺこぺこ頭を下げる。
罹災証明・・・身分証明をサイトで公表して下さいと
言われているようで、そんなこと言われてまで物をもらわなきゃ
やっていけないなんて、辛いことだと思います。


被災地が東京だったら、今頭を下げているのは自分かも
しれないのに。
今朝も大きく揺れましたね。


立場でものを考えずに、支援者も相手に優しく接したら
ちゃんとお礼を言ってくれる人はたくさんいます。
それでもだめなら、その人は自分の中で排除すればいい。
それも嫌なら関わらなければいい。
支援することが本来の目的ではなくて、小さな支援物資で
その人の心もあったかくして、立ち直りたい、見ず知らずの人が
助けてくれた、頑張るぞ!って思ってくれる。
そんなことが本当の目的なのではないでしょうか?


だとしたら、優しい言葉遣いも支援の一つ、
「私はたまたま被災しなかっただけです。だから、助けるのは当たり前。」
その言葉、私も忘れないよう胸に留めておきたいと思いました。