レストラン大宮での出来事

最近は、計画停電のニュースもないのですっかり忘れてしまったのか
お店によって、「節電中です」と書いて実践しているところ
もう関係ないところ、はっきり分かれているように思います。
これから夏に向けて、経済に影響を与えては困るけど、
のど元過ぎれば熱さ忘れる、みたいにはなりたくないなぁと思います。


4月の初め、ポーランドから帰国後すぐのこと、
浅草では名前の知れたレストランに食事に行きました。

1Fのカウンター席にはずらっとスタッフが並び、お客様はゼロ。
予約した2Fのテーブル席には、待ち合わせした友達が一人先に来ていました。
つまり、お店にお客様は私たち2人だけ。


4月に入り、計画停電も実施されない日が続いていました。
でも、私たち二人だけに煌々と電気がついているのが気になり
「私たち消しても全然いいですよ。キャンドルでも。」と、言ってみました。
2Fの女性スタッフにあまり反応がないので更に、
「ライトが二列に分かれているし、こちら側だけ消せないんですか?」
「ライトのスイッチが一緒で消せないんです。これでも少しはダウンしているので。」
「あぁそーなんだ・・。こんなに明るくなくていいのにね。」などと
言っているうちにカップルが一組、そしてもう一組現れ、お客様は私たちを入れて
計6人になりました。


私たちが食事を始めて一時間半ほど経つと、2組のカップルは先に帰り
結局またお店には私たち2人だけに。
「もうライト消してもいいですよ。ほんとに。」
「うちはお客様に迷惑もかかるので、これでやっているんです。」
私の友達は計画停電を実施している、他県から来ています。
「でも私達だけだし。地元では、こんなに煌々と電気つけてるお店ないですよ。
東京だけじゃない?」
「でも、うちも一つおきに消したんですけど、ライトの当たらないお客様から
言われて、東京は東京で大変なんです!」
といっても、私たちしかいないんだからいいと思うんだけど、
経営者の指示で出来ないのかしら?
それにさっき、ライトのスイッチ全部一緒だから消せないって言ったじゃん・・。
「あの、私東京ですけど・・、節電してますよ。うちの会社も、家も。」
少し前には、府中で会社を経営し計画停電に併せ工場を休業していたお客様に
「23区はいいよなー。停電しないんだもんな。痛みがわからないよ。」と
言われたばかり。


友達が「今日はこれでいいけど、うちも計画停電で大変なんで、
今度から少し考えて欲しいってオーナーに言っておいて。」
「私、オーナーの娘です!」

その反撃に私も思わず、「あのね、オーナーの娘だったら尚のこと
お客様にそんな言い方しない方がいいよ。」と、つい。
友達が、「東京の人は計画停電やってないからわからないんだよ。
なんか、ごめんね。」と彼女に言いましたが、
それっきり、彼女はどこかへ行ってしまったようでした。


友達は、その日も重いのに会社のノートPCを持って来ていました。
計画停電の実施が前日にしかわからないので、
翌日会社が営業しているかどうかを、HPにUpするのだそうです。
東京の人には大変さがわからない、と言われても仕方ありません。


そんなことがあって、翌日会社で電気ストーブをつけようとした
うちのスタッフに、つい、強く言ってしまったのです。
「どうしてわかってくれないの?」私の頭の中では昨日の続きだった。

一瞬、びっくりして涙目になった新人スタッフに、
「あー、ごめんね。ごめん、ごめん。昨日、ちょっとあったのよ。
だからね、前から言ってるけど節電に協力しようね。
今日、あなた薄着だよね。温かい服装していて寒いなら仕方ないけど
まず、服装で調整しよう。みんなで協力しようよ。」と言うと、素直に理解してくれました。


その時、思い出しました。
以前、勝間和代さんの本で読んだ「アサーティブな振る舞い」。
assertive=日本語では近い意味がないので「わがまま」と訳され、
英語では「自信を持って説得力ある人柄の印象を持っていること」
という意味だそうです。
相手も自分も大事にする自己表現の技術。
日本人は教育されていないけど、欧米では高校生くらいから
学習しているのですって。
自分が納得のいかないこと、譲れないことを相手に押し付けるのではなく、
一見謙虚に見える言い方できちんと伝える。
そして、相手と一緒に解決策を考えていく。
相手も言われたことに攻撃的にならず、頭から否定せず、まず受け入れる。
これを無意識にできるまでトレーニングすることが必要だとありました。


そういう大人の振る舞いができれば、
節電に協力してもらえたかもしれないな、と思いました。
私の言い方も悪かった。
ちゃんと聞いてあげて、どうやったらお客様に受け入れてもらえるのか
方法を一緒に考えるべきだった。


そしてそれはお店にも言えること。
せっかく美味しいお肉を出す有名なお店なのだから、「うちは節電をしています」と
自信を持ってアピールし、お客様の意識改革するぞ!くらいの気持ちで
アサーティブに説明したらよいのではないかな。
そうしたら、私よりずっと発信力のある「レストラン大宮」が、
もっといろんな人に発信できるのだもの、ね。