お別れのとき 続編 

 成田空港でご挨拶をした故人がなぜそんなにご立腹だったかは
私の同僚の名誉もあるので書きませんが、う〜ん、怒るも当然・・・でした。


クレーム処理で気をつけなければならないことは、
その方の機嫌を戻したいのはやまやまだけど、そのことにとらわれないこと。
とらわれ過ぎると、その方の顔色だけをみて知らず知らず気に入るようにと
動いてしまい、ただご機嫌を取っているだけになってしまう。
そして、私の経験からいうと正しい判断が出来ないことがあります。

結果、本来の自分の力が発揮できず、
更にクレームを招くようなことにもなりかねない。
負のスパイラルに陥いってしまうのですね。


同僚が、自分がクレームを出したツアーに行きたくない、と言って
それを代わってあげようか?と思ったのも、
彼が行くと本来の力は発揮できず、恐らくこのクレームを超える仕事は
出来ないだろうと予測したから。
それと、私が何より添乗が好きなこともその、最初からとても辛そうな
仕事を引き受けた理由の一つでもありました。


でも、これが私にとって思いもかけない出会いになったのでした。


 故人は、素晴らしい方でした。
今から10年以上前の話であり、当時、私のお客様には
幼稚園の園長先生たち、というカテゴリーはありませんでした。
故人は、その園長先生たちをまとめる先生。
教祖様みたいな方だな、とその時思ったのを覚えています。
ここからT先生、と書きますがT先生が声をかけると
たくさんの参加者が集まります。
私が代わった添乗先はニューヨークとナイアガラ、40数名。
ニューヨークでT先生の知人がやっていらっしゃる幼稚園を見学するのが
大きな目的でした。


その幼稚園での衝撃的な出来事は今も鮮明に覚えています。


《 つづく 》